サブウーファー用アンプの制作

 

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友人がYAMAHAのウーファーを手に入れましたが、「アンプがない」ということで、ウーファー専用のアンプを作ってあげることに。

ウーファーは一つしかないので、片チャンネル分のアンプを作れば良いわけですが、ステレオからモノラルへとミックスダウンした信号を入力する必要があります。下手に両チャンネルに抵抗を噛ませてミックスしてしまうと、信号線に並列につないでいる他のステレオアンプでもモノラル化が起こってしまうので、スピーカーアンプの直前にオペアンプを噛ませることにしました。

メインのスピーカーアンプは、お手軽にモノラルBTLアンプ「LM4860」を使用。古いノートPCをばらした時にGETしました。秋月の変換基板に載せてます。
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モノラル化のためのオペアンプには秋月電子で手に入る「OPA2353」を。低音に元気があるのでちょうど良いかと。
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今回の回路図です。
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電源にはスイッチングACアダプタ5Vを使い、トランジスタ+ダイオードによる分圧回路で両電源±2.5Vを生成します。この分圧回路はstrvさんのこの記事そのままです。トランジスタ2個のお手軽感が良いですね。下手に分圧用のICを使うよりもローノイズで音も良くなります。一応npnとpnpはhfeによる選別を行いました。選別用のテスターはこれまた秋月で売っています。安い。

電源に使ったコンデンサは3種類。手持ちの物からテキトーに。
スイッチング電源用の「ニチコン PW 4700uF 6.3v」→カニ(trieste)さんが紹介しています。シルキーで柔らかい音がします。広がり感がある。100個入り1500円とかでGETしたもの(笑
「タンタルコンデンサ 220uF 6.3v?」PCのマザーボードからひっペがしてきました。表面実装用の部品ですので、秋月の細ピンヘッダをうまく使って足を生やしてやります。OS-CONと比較すると解像感はそこまででもないかもしれませんが、コシのある音で好みです。
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「ポリプロピレンフィルムコン 0.1uF」まぁよくありますよね。
ACアダプターからは高周波ノイズが入るだろうと思ったので、電源回路直前にジャンクからひっぺがしたコイルを適当に入れました。効果があるのかは検証してませんが。逆に悪化させてたりして(笑

 

信号系です。

前段はOPA2353を使ったステレオ→モノラル ミックスダウン回路です。ついでに非反転増幅で10倍の利得を得ています。

抵抗には、「多摩電子工業LF」を使います。こいつは足の幅が決まっているので、非常に使いづらいですが、音は良いです。(nabeさんの抵抗紹介記事)かつて100個20円とかでGETしました。

Chu-moyとかでもそうですが、入力とGNDに渡してある10kΩの抵抗は省略できません。これを省くと、オペアンプからわずかに漏れる電流が逃げ場を失い、入力の電圧を引き上げるという悪さをします。私もブレッドボードに組むときによく忘れます(笑 忘れたままスピーカーをつなぐと、ものすごいオフセット電圧のせいで「バゴッ」とか音がしてヒヤヒヤしますね。

左右チャンネルをそれぞれ10kオームの抵抗を直列に噛ませて一つにミックスします。

混ぜたあとはボリュームを通して、LM4860へと渡します。結論からいうと、LM4860の前に10kΩを噛ませるべきでした。LM4860は標準で反転増幅のみとなっていて、その利得は2本の抵抗の比で決まるのですが、「ミックスダウンの10kΩx2+ボリュームの10kΩ」でそのうちの片方は済んでいると思い、入力抵抗を省きました。そのためか、ボリュームをちょっと回すとすぐほぼマックスの音量となってしまい、ちょっと扱いづらくなってしまいました。(LM4860の利得無限?)反転増幅回路に詳しい方、このあたりのことを教えてくださると嬉しいです。

ここで使ったボリュームは、行きつけのジャンクショップのおばちゃんが音がいいからと薦めてくれた、スイス製の計測器用のボリュームを使いました。聴いてみた感じ、確かに音も悪くはなさそう。
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さてパワーアンプ部、LM4860です。こいつはナショナルセミコンダクターが「Boomer」というブランド名で展開している、低ひずみアンプシリーズのひとつのようです。このシリーズの中に、nabeさんが紹介しているヘッドホンアンプIC「LM4880」があります。両電源で使ってカップリングコンを省くために(なんたって今回は低音にこだわりますから)、このnabeさんの記事を参考にしました。音の傾向は、LM4860もLM4880も、どちらも元気で明るい感じがします。

LM4860の10kΩと並列につながっている「0.033uFのコンデンサ」は、ローパスフィルターの役割をします。今はカットオフ周波数が大体500Hzです。ウーファー専用ですが、たまに普通のスピーカーにもつなげて遊べるように、このコンデンサは取り外しができるようにしてあります。コンデンサーを挿したり抜いたりするだけで簡単に切り替えができるのは便利ですね。

反転のBTL出力なので、位相を考えてスピーカー出力は±逆につないであります。
さて組み立てましょうか。

今回の部品たち
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蛇の目基板に部品を差しながら、ウラ面での接続を考えます。一番楽しく、また一番苦労する部分であります。今回は基板の真ん中に電源回路を、その左にOPA2353,右にLM4860を置きました。LM4860はニチコンPWで隠れてしまいます。
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半田面はとても汚いです(笑 でも「部品の足と足がはんだを介さずに接触している」という条件を満たした、匠の技です(笑 回路にはんだが直列に挟まると、音が濁ります。はんだをこんもり持っているようでは、音のいいアンプは作れません。また、「富士山型のハンダ付け」は一見綺麗ですが要注意ですよ!
(ハンダ付けに関してはいずれまた詳しい記事を書きます。)
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仮組みして音を出します。ん?なんか音が良くない・・・ここで重大な間違いを発見。電源のトランジスタの極性が間違っていました(泣)これはマズイ、ということで、非常に面倒でしたが、頑張ってはんだを取って挿しなおしました。もう一回音を出すと・・・おお、良くなってる!

次はケースの加工です。ケースとして使うのは、セリアなどの100均で売っているおしゃれな金属の角缶です。自分の中では一番のお気に入りです。電動ドリルで穴を開けたあと、トリマーで穴を広げます。バリはきちんと取りたいところですが・・・まぁ残っちゃった部分はスプリングワッシャー代わりになるでしょう(オイオイ
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部品を仮止め。なかなかいい面構えぢゃないか。
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最後は銅の単線でハンダ付けしていきます・・・

・・・完成!
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音も無事に鳴りました。
(不思議なのですが、電源を入れた直後の音って、ものすごい感動的な音がすることってないですか?そのあとだんだん普通に安定した音になっていって・・・)

想像以上の出来だったので、譲りたくないとは思いましたが、泣く泣く友人宅に嫁入りさせました。
だってそのために作ったんですから・・・

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音楽をやってる友人なので、きっと大事に使ってくれることでしょう。

以上です。